苺祭的遊戯(ショートストーリー集)
「恋人は魔王様」

・Little Mission

土曜日の朝、珍しく早く目が覚めた。
隣ではキョウがぐっすりと寝息を立てている。

も、もしかしてこれってミッションをこなすチャンスなんじゃない?
私はそぉっとベッドから抜け出すと、ルームウェアを着てからキッチンへと向かう。

卵と小麦粉、そして牛乳。
混ぜて焼くだけ……でしょ?

ほら、簡単……?
あれ?

「ユリア。そうやって人が調達してきた材料を無駄にするのはどういう嫌がらせ?」

膨らみもしないまま、黒焦げになったパンケーキもどきをどうしようかと思案に暮れていたら、黒のガウンを着たキョウがやってきて首を捻る。

「違うのっ。
ほら、いっつもキョウが作ってくれるからたまには私が……」

「ああ、あれ?
焦げたものを沢山食べるとがんになるかんどうかの、人体実験?」

な、なんでわざわざ時間をかけてそんな嫌がらせをしなきゃいけないのよっ。

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