苺祭的遊戯(ショートストーリー集)
「それだよ、龍星。
 どうしてお前ともあろうものが私に気を遣うのだ」

ほぉ、と、龍星は心の中だけで目を丸くした。

「気を遣った覚えなどありませぬ」

「では、千に対しての気遣いだと?」

龍星は顔をあげない。
無表情を保っている自信はあるけれども。

「……もう一度占えとは言わぬ。
 だが、真実を私に知らせるべきだ。
 違うか?」

「御子の星は輝ける太陽。
 その将来は順風満帆。
 何ら問題の翳りなし。
 ……それでは、ご不満だと?」

ことさらに声を抑えて問う。

「不自然すぎる。
 それが信じられるような世の中ではない」

(次ページへ)
< 69 / 196 >

この作品をシェア

pagetop