姫に王子のくちづけを…



「俺がせっかく手助けしてやったのに1つも生かされてねえじゃねえか」
(手助け=くじの細工)




『・・・・・・』




彼方は無言のままずるずるとしゃがみこんだ




「それに、あんなつらそうな顔するんだったら引き離さなけりゃ良かったんじゃねーの」




俺はいつになく饒舌だ

何故だろう



…俺が彼方の従兄弟だから弟的な感情を持ってるからっつーのもあるけど


それ以外の何かがあると自分では思う






『…俺がいなくても…大丈夫なんだなって


…情けねえよな、昔から守りたいのはあいつだけなのに

あいつの友達はあいつを男嫌いってことにしてまで俺から引き離したかったみたいだしさ』





震えた声




手のひらを額に当てて俯く様は

俺の知っているあの生意気な餓鬼には見えなかった





たぶんこいつからこんな本音聞いたのは初めてかもしんねえな






男は守りたいもんができると変わるっつー訳か











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