Love Short Story's

・飲み込んだ言葉

いつアイツに告白しようか。
いつアイツに想いを伝えられるだろうか。

あたしの恋はアイツの為にある様なものだ。
アイツの事で頭がいっぱいになって、アイツにしかあたしの心臓をドキドキさせれない。


「ねぇ、大悟!」

「あー?何?」

「・・・ううん。何でもないや。」

「ふーん、変な奴。」


まただ。
また今日も言えなかった。

ただ“好き”だって言うだけなのに。
ただ2文字の言葉を口にするだけなのに。
ただ自分の想いを相手に伝えるだけなのに。

ただそれだけの事なのに、あたしにはとても難しく感じるんだ。
想いを言葉にして相手に伝えるのは難しい。

だけど、伝えたい。
上手く言えなくてもアイツに聞いて欲しい想いがある。


・・・―


「なぁ、俺って・・・ダサイのか?」

「大悟?どうしたの、突然。」


大悟ってばイキナリ何を言い出すのだろう。


「俺って・・・ダサイよな。」

「そんな事ないって!」

「なんでそう言えるんだよ。」

「だって、あたしは・・・、あたしは大悟の事が」


今なら、言えるよ。
今なら、ちゃんと気持ちを伝えられる。


「俺、振られたんだ。」


今にも口から出そうな“好き”の言葉があたしの喉の奥で苦しそうに詰っている。
今なら言えた想いを、あたしは無理矢理飲み込んだ。

言っちゃダメなんだ。と思ったからだ。


「そ、うなんだ・・・。」

「好きな奴がいるからって断られた。俺ってダサイよな。ハハッ。」

「ほ、ほら!またアタックすれば相手だって好きになってくれるかも!」


何あたしってば応援しちゃってるんだろう。
1番ダサイのは、あたしだよ。

飲み込んだ言葉はいつか言えるのだろうか。
今のあたしには、これっぽっちも自信がなかった。


end
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