Love Short Story's

・とっておきをキミに

「とっておきのプレゼント待ってるね。」


優しい声で彼女はそう言った。
そして僕は疑問に思う―
“とっておき”とは一体、何なんだろう。何をプレゼントすれば“とっておき”になるのだろう。

“とっておき”で悩まされる様になった原因は2日前の事だ。
2日前の夜、彼女に電話をした。理由はもうすぐ17歳を迎える彼女に欲しいものを聞くためだった。


「ねぇ、プレゼント何が良い?」
その質問に彼女は「んー。」を考えながら言葉を続けた。


「何でも良いよ!気持がこまったものなら何でも嬉しいから!」


“何でも良い”それが1番悩む。
具体的に言ってもらった方が悩まずに済むのに。


「本当に何でも良いの?もしそれが気に入らなくても?」

「うん。気に入らないことなんてないよ!彼氏からもらったものなら何でも嬉しいんだよ。」


女の子ってそういうものなのか。何をもらってもの嬉しいだなんて正直驚かされる。


「わかった。なら楽しみにしておいて。」

「うん。とっておきのプレゼント待ってるね。」


そして彼女は僕を1番悩ませる言葉を零し電話を切った。
それ以来、僕は24時間悩みっぱなしなのだ。
クラスの友達に相談してみると無難に“指輪”が良いと答えた。しかし彼女の指のサイズなど知る由もなく指輪は没になった。

本当に何をプレゼントすれば良いのだろうか。
気がつけば彼女の誕生日まであと1日しかないことを僕はカレンダーを見て知ることになった。

何を買えば良いのだろう?
何も決まらない。
それかいっそのこと“プレゼントは僕!”なんて言ってしまおうか。・・・しかし、それも出来るはずがなく悩めば悩むほど時間は確実に過ぎて行った。

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