ダンデライオン

店内に入るともうナホさんは来てるらしく、従業員に個室を案内された。


ドクン、ドクン
と心臓が大きく、速く脈打つ。

「おばさん、おじさん、直美っ、それに真澄ちゃん!こんばんは。」

眩しい笑顔であたし達に挨拶するナホさん。

「真澄ちゃんに会いたかったんだーっ!」

そう、ナホさんに可愛い笑顔を浮かべて言われて嬉しくない人なんていない。

「あの時はありがとうございました。」

「いいえーっ。あの時なんか運命感じちゃったんだよねっ!直美の友達と街中で偶然会うなんてさ。」

ナホさんはいつも笑顔を絶やさない人だな、そう感じた。

天真爛漫。その言葉がぴったり。

「ナホさんとお食事出来るなんて夢みたいです。」

なんて、ミーハーすぎるかな。

「オーバーねぇ。それにナホじゃなくて奈穂美って呼んで?」

「え?」

あたしが、本名呼んでいいの?

「これからも仲良くしたいんだ。だから本名の奈穂美。歳はちょっと離れてるけど、呼び捨て、タメ口でっ!」

これからも仲良くしたい
その言葉が嬉しくて、嬉しくて…声にならないその喜びを首を大きく縦に振ることで表した。

「あ、でも…呼び捨てじゃなくて奈穂美さんでいいですか?」

「うーん…。ま、奈穂美ちゃん!ならいいよ。
…って!タメ口って言ったでしょ?」

そう笑う、奈穂美ちゃん。


「ごめん…気をつける。」
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