マイ・ラブ
未来への準備

「香歩~?いつまで寝てるの!?」
低いのによく響くお母さんの声。
例えるならアヒル?
おまけにノックもせずに、あたしの部屋にずけずけ入っていく。

「ちょっと~やめてよ…。いいの、今日あたし学校休むし。」

「や、休むってどうしてよ!!」
オーバーなくらい目を見開いて、枕に沈没したあたしに問いかける。

「だって~外雨降ってんじゃん?」
染め直したばかりの茶色の髪が、肩でフワフワと揺れる。

…あたしは中学の頃から、雨が降っているだるい日は、学校に行かなかった。
ぶっちゃけ雨に関係なく、あたしは休みが多かった。

「香歩~あんたそんなんじゃこれからやっていけないよ!?」
お母さんは腕を組んで、「困ったさんポーズ」をする。
「何よそんなの今に始まった事じゃないし」
横にあったくまのぬいぐるみをつつくあたし。

「香歩!とにかく今日は学校に行くの!!入学式だけなんだから!」
お母さんは珍しくしつこい。
昔なら呆れて出ていってたのに。

「…ねえお母さん」
「なに?」



< 2 / 7 >

この作品をシェア

pagetop