リナリア

「好き」



 あんな事を思っていたから、口に出してしまっていた。


 あっ。


 そぅ思った時にはもぅ遅くて。


 言ってから、しまったと思う。



 もっと、巧いこと、言いくるめられるような文句を囁いてから言えば良かった!!!!!


  な、なんで普通に好きだなんてっ!!!!!!!




『・・・・・・・・・・』



  当然と言えば、当然なんだけど。


 荘太君からは、返事は無くて。





 何か言ってくれるかな。そぅ思ってしばらく待ってみたけど。


 相変わらず、荘太君の声が聞こえてくる事は無くて。


 沈黙に耐えられなくなったあたしは、「ごめん、別れたのに、今更だよね。本当にごめん」そう早口で言い、電話を切った。





 分かってたけど。



 最初から、分かっていたけれど。



 もう、別れたんだし。

 今更好きとか言われても確かに困るだろうけど。

 それでも、何か言って欲しかった。

 一言、「ごめん」って、それだけでもいいから、言って欲しかったんだ。



 無言なんて、辛すぎる。




 あたしはこの日二十歳を過ぎてから初めて、しゃくりをあげるほど泣いた。


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