リナリア

 壮太君と付き合ってたのなんて、半年ぐらいで。


 記念日とか、


 二人で過ごした思い出の場所とか、


 特別な場所なんてものは、


 そんなもの、全然なくて。




 壮太君は「いつもの場所」って言うけど、そう呼べるような場所なんて、あたしには全く心当たりがない。



 だけど。


 一か所だけ。


 強いて言うなら、一か所だけ。




 「いつもの場所」なんて言うほどソコで会った事も待ち合わせた事もないけど。


 でも、そこなら、きっと。





 そこに行って、壮太君が居なかったら、あたしは本気で諦める。


 もし居たとしても、本当に「都合のいい女」コースかもしれない。



 それでも、いいや。


 そう、思ってしまうあたしはおかしいのかな?

 もう一度、壮太君と繋がれるのなら。

 あたしは喜んで都合のいい女に、なる。




 あたしに、「都合のいい女」になる程の甲斐性なんて、あるとは思えないけれど。




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