“俺様”大家の王国
確かに、誰かの手の温度を確かめるのには、
それしかないだろう。
でも、何も……両手を握らなくたって、いいんじゃないかな。
私が俯くと、何やら気まずい雰囲気になった。
そして、そのまま数秒経ってから、
ようやく大家さんが気付いた。
手が離れると緊張も解けて、お互いにぷっと吹き出した。
そうして散々笑った後に、
「とりあえず、来て貰えますか」
「はい」
大家さんが差し伸べた手が、
わざとステレオタイプの『王子様』を意識しているのが面白くて、
二人でまた笑った。
それが、始めの日。