“俺様”大家の王国



確かに、誰かの手の温度を確かめるのには、

それしかないだろう。
 
でも、何も……両手を握らなくたって、いいんじゃないかな。
 
私が俯くと、何やら気まずい雰囲気になった。

そして、そのまま数秒経ってから、

ようやく大家さんが気付いた。
 

手が離れると緊張も解けて、お互いにぷっと吹き出した。
 
そうして散々笑った後に、

「とりあえず、来て貰えますか」

「はい」

大家さんが差し伸べた手が、

わざとステレオタイプの『王子様』を意識しているのが面白くて、


二人でまた笑った。


それが、始めの日。



< 49 / 534 >

この作品をシェア

pagetop