季節外れの卒業旅行
「竜ボン……竜ボンのシャツを俺にくれぇや」

力のない声で、瑞希が傍に寄ってきた

さっきまでの緩みきった笑みは消え、青白い顔をして俺の肩に手をいた。

「どうした?」

「きも……うっ…ぷ…吐く…」

「え? おい、トイレに行けよ」

俺は瑞希の身体を回転させると廊下に突き出した

顔を左右に動かして、トイレの表示を探した

右か!

俺は瑞希の身体を右に押す

「まっすぐ行けば、トイレだ!」

俺の言葉を聞いた瑞希が、一目散に走り出した

なんだよ
あいつは船に弱いのかよ

薬、持ってるのか?

吐けば、楽になるのか?

船酔いとか
車酔いとか

経験した記憶がないからわからないな
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