Damask Rose [短編集]

番外編とアイツ



☆柚と美砂の場合


「ええっ?!壱也君と付き…ふぐっぐ」


教室前の廊下だっていうのに美砂ちゃんはかまわず大声を出した。


「もお、美砂ちゃん!声おっきいから」


両手で押さえた美砂ちゃんの口から自分の手を離す。


「ごめん、ごめん。でもやっとくっついたんだ。おめでと」


ぎゅっと美砂ちゃんに、抱きしめられた。


「次は美砂ちゃんの番だよ!」


「えっ?!」


今度は勢いよく体を離す。


「早くしないと…長谷部君誰かに盗られちゃうかもね」


「何よその余裕〜自分はラブラブだからって」


「えへへ、でもでも早くちゃんとしたWデートしたいな〜なんて」


「………から」


美砂ちゃんが真っ赤になって俯きながら、小さく言った。


「頑張る、から」


可愛い!
健気な美砂ちゃんが可愛くて、今度は私からぎゅって抱きしめた。







***+α***


(なあ、はせやん…柚が湯本に抱きついてる…)

(壱也の愛じゃ満足出来ねーんだよ)


(……………)


(冗談だよ)


えっ、マジで沈んでんの?





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