日暮れの緋色Ⅱ
亡くした記憶

 陽は血のように赤く染まり

 人の影は奇妙なほど長く伸びる頃

 メイド商会に一人の男の子がやってきた。


 「あの~、メイド商会はここでいいんでしょうか?」


 魁が入り口を見ると、ボサボサの髪に黒縁の眼鏡をかけた小柄な少年が立っていた。


 「ああ、お客様ですか。ようこそ、メイド商会へ」


 魁はいつものように恭しくお辞儀をする。

 すると、少年は急におどおどし始めた。


 「あ、あの~ここはなんでも調査してくれるって聞いて・・・あの、あの・・・・・・・」


 要領を得ない会話に、魁は少し苛立つ。
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