日暮れの緋色Ⅱ
二人のボク

 コチコチコチ・・・


 古い壁掛け時計から

 時を刻む音が部屋に響く。

 人の鼓動のようなその音に

 神経がやすまりかけたころ

 ミコトはおもむろにソファーから立ち上がり

 奥の部屋から紅いしずく型の宝石のついたネックレスを持ってきた。


 「ミコト・・・まさか・・・」


 魁がそういうと、ミコトは肯定も否定もせずに

 ただにこやかに笑った。

 そして、亘の目の前にそれをかざす。


 「な?!なんですか!」


 亘はミコトが何をしようとしているのかわからずに

 ソファーの背にしがみついた。


 「大丈夫ですわ。ただ、もう一人のあなたとお話したいだけですの」

 「も、もう一人?」


 亘には意味がわからなかった。
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