実録 出会い系サイト!!『実話』
「あっ。ただいま。」


呆然と立ち尽くすアタシに、拓人は子供のような笑顔で話してきた。


「亜美!お部屋どれがいいか決めて!!亜美の気に入ったお部屋がいいから。」


そう言って、分厚いパンフレットをアタシに見せた。


゙決めてって言われても、こんな高級マンション住んだコトないから選べないよ…。″



拓人は、パンフレットを持ちながら色々と説明してくれた。


結局、決めたのは拓人だった…。


「来週には引っ越すから、亜美も少しは片付けしててね。」


ニッコリ微笑む拓人。


゙来週って…。あと10日もないじゃん。片付けなんて無理…。″



一人で考え事をしてると、

「大事なモノだけ分かるようにしててくれたらいいから。その他は全部、引っ越し屋さんに頼んどいた!!」


拓人は、キラキラと目を輝かせながら言った。


゙またアタシの心、見透かされてる…。″



それからバタバタと日にちが過ぎていき、ついに引っ越しの日が来た。


拓人は、てきぱきと指示をしていたが、アタシは自分の部屋が空っぽになっていくのを、ポカーンと見ていた。



゙ちょっとさみしいな…。この部屋ともお別れか…。″


そう思いながら部屋の中を歩き回っていたら、


「行くよー、亜美!」


拓人の勢いのある声で、急いで部屋を後にした。


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