HDD彼女
 『各階精算』というジャンパラのルールに従って、三階レジにて代金を払い、念願である外付けのハードディスクを受け取る。
 茶色の、粗末な紙袋の中に入れられて俺に手渡された新しいハードディスクが誇らしげに見える、まるで、自らの仕事を始めるのを今か今かと待ち構えているようだ。

――これでまた、思うままに画像や動画を収集できるというものだ。

 手渡されたハードディスクを見ているだけで、自分の気持ちが俄かに湧き立つのを感じる。
 PCの容量が増えるということは……遠慮なく趣味の画像を保存していっても問題は無いということなのだ。
 データの容量が大きいから、このデータを保存するのをどうしようか……なんて無粋な事を考える必要は無い。
 今夜のネット徘徊は、いつもより一層激しくなるだろうという予感に包まれて、俺は柄にもなく興奮していた。
 きっと、見る奴が今の俺を見れば、俺の全身がまばゆいばかりのオーラに包まれているのが見えるだろう。
 早く家に帰りたい気持ちでエレベーターホールへと向かう。
 頭上で点灯している在階表示を眺めながらも――エレベーターが到着するのが待ち遠しくてしようが無い。
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