†Orion†


――どうして俺は、君を好きになったんだろう。

どうして君は、誰かのものなんだろう。



「………っ……」



俺は泣き上戸だったのかな。

涙が、次から次へと零れ落ちる。

ノースリーブを着た優菜さんのむき出しになった細い肩が、俺の涙でいっぱいになる。



「大丈夫、大丈夫だよ」



きっと優菜さんは、俺がどうして泣いているのかなんて分かっていない。


それでも、元気づけようとしてくれているのか、俺の背中を何度も優しく摩り続けた。




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