†Orion†


単位のことなら大丈夫だ。留年する心配なんかない。

バイトに明け暮れていたわけでも、遊びまわっていたわけでもない。

講義にはきちんと出席していたし、試験の点数も悪い方じゃない。

俺は学内でも、比較的、真面目な学生の部類に入っているほうだから。



「それから……」



それまで笑っていた料理長の顔が、にわかに曇った。

その表情に、思わず息を呑む。



「人間関係も、自覚をもてよ。仲がいいのは結構なことだけど、オトモダチ感覚じゃダメだからな」



……胸が、ドクンと大きな音をたてる。


話に込められた意味が、“そうでないこと”だと、俺も料理長も分かっている。

遠まわしな、言い方――……


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