†Orion†


細い瞳はクールさを漂わせているけれど、笑顔を見せればとても優しい表情になる。

スーツ姿がとても様になっていて、大人の男だということを、まざまざと見せ付けられる。



「……主人よ」



写真に見入っている俺に、優菜さんは分かり切ったことをわざわざ説明する。

部屋の奥からは、先に上がった奈緒ちゃんとさくらちゃんの声が聞こえてくる。



「……優しそうな人ですね」


「うん。とても優しい人よ」



――ようやく、意味が分かった。

どうして優菜さんが、俺を家に誘ったのか。



そのあと俺はリビングに案内され、晩飯ができるまでのあいだ、奈緒ちゃんとさくらちゃんの子守を頼まれた。


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