†Orion†
振り返った優菜さんを見て、心臓がドクンと重い音をたてる。
あの日の彼女の涙を思い出す。
俺の隣で、プレートにライスを盛り付けていた料理長。
ピクリと止まった彼の手が、視界の隅に入った。
「……はい?」
優菜さんはシルバーを準備するのを止めて、デシャップへと近づく。
そして俺は、まっすぐに彼女を見据えて言った。
「スープ、早く持っていってください。冷めるし、もうすぐメインの料理も上がるんですけど?」
「……すみません、すぐ行きます」
なんて、トゲのある言い方なんだろう。
料理長でさえも、こんな言い方しないのに。