†Orion†
「それだったら、店でよかったのに。わざわざ呼び出さなくても……」
優菜さんと浩平さん。
そして、奈緒ちゃんたち。
杉浦家の問題が解決することを願っていたのに。
そして、それが叶ったのに、やっぱり現実を目の当たりにするのはひどく苦しい。
「どうぞ」
この部屋を訪れるのは二度目。
そして、もう二度とここを訪れることはないんだ――……
先に部屋に通されて、俺は恐縮するかのように身を縮めてスニーカーを脱ぐ。
「………?」
足を一歩、杉浦家に踏み入れた瞬間、心臓がドクンと鈍い音を立てた。