†Orion†


「それだったら、店でよかったのに。わざわざ呼び出さなくても……」



優菜さんと浩平さん。

そして、奈緒ちゃんたち。


杉浦家の問題が解決することを願っていたのに。

そして、それが叶ったのに、やっぱり現実を目の当たりにするのはひどく苦しい。



「どうぞ」



この部屋を訪れるのは二度目。

そして、もう二度とここを訪れることはないんだ――……


先に部屋に通されて、俺は恐縮するかのように身を縮めてスニーカーを脱ぐ。




「………?」



足を一歩、杉浦家に踏み入れた瞬間、心臓がドクンと鈍い音を立てた。



< 250 / 359 >

この作品をシェア

pagetop