†Orion†
6

*“親”っていうやつは……*



夏休みを終えて、店の忙しさが落ち着いた九月。

俺は連休を取って、同じ県内にある自分の実家へと向かっていた。



優菜さんが実家に帰ってから一ヶ月。

彼女は今、実家の近くにある運送会社で事務の仕事をしている。



俺たちは毎日のようにメールと電話で連絡を取り合った。

でもまだ、優菜さんに会いに行っていない。



ずっと父親を愛し続けた奈緒ちゃんたち。

その浩平さんがある日突然、家を出て行ったのだから、奈緒ちゃんたちの心の傷は計り知れない。




「おかえりなさい。疲れたでしょう?」



実家に到着したのは夕方で、お袋が玄関先で出迎えてくれた。

帰ってくるのは大学を卒業して以来だ。


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