†Orion†


「その人のどこが好きなの?」


「え……っ?」


「おっ! 反応したっ」



ようやく弘美の方を向いた俺に、彼女は嬉しそうな顔をする。



どこが、好き……?



問われてみて、出会った頃のことを思い出す。



確か……、俺がまだ新人の頃だ。

その頃の俺は、皿洗いばかりしていて。


土曜日のピーク中には、ホール担当の子たちから、


“グラス足りないから、すぐ洗って!”

“コーヒーカップはまだなの!?”


なんて、上から目線で言われていたんだよな。


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