†Orion†


本当なら今日は、こんなに晴れるはずもなかった。

昨日の天気予報では、降水確率80%だって言っていたから。

雨を止ませてくれたのも、やっぱり雅人のおかげで。


ほんとうに、彼のあたしたちに対する愛情の深さは計り知れないものがある。



「じゃあ、お母さん、ビデオしっかり撮ってよ!」


「はいはい。間違っても変なポーズ取ったりしないでよ?」


「はいはーい」



高校の玄関前に貼り出されたクラス名簿を確認して、奈緒は自分の教室へと向かう。

あたしは奈緒の姿が完全に見えなくなってから、入学式が行われる体育館へと向かった。



……雅人。

時間の流れは本当に速いね。

奈緒ももう高校生だよ。

今度、さくらも中学生になるね。


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