†Orion†
その日のうちに、弘美の採用はあっけなく決まってしまった。
「斉藤くん、森尾さんと友達なんだってー?」
面接を終えた店長が、デシャップ越しに上機嫌で訊いてきた。
「えぇ、友達、です!」
ここでもまた、俺は友達だと強調して言う。
変な噂を立てられたくなかったし、それが杉浦さんの耳に入るのも避けたかったから。
「あの子、元気があっていいねー」
「……て言うか店長、バイト募集してましたっけ?」
「いや、ディナーの新人が一人辞めることになってさ。その子の代わりに誰か……って思っていたんだよ」
……弘美。おまえは本当に運がいいヤツだよ。