†Orion†


その日のうちに、弘美の採用はあっけなく決まってしまった。



「斉藤くん、森尾さんと友達なんだってー?」



面接を終えた店長が、デシャップ越しに上機嫌で訊いてきた。



「えぇ、友達、です!」



ここでもまた、俺は友達だと強調して言う。

変な噂を立てられたくなかったし、それが杉浦さんの耳に入るのも避けたかったから。



「あの子、元気があっていいねー」


「……て言うか店長、バイト募集してましたっけ?」


「いや、ディナーの新人が一人辞めることになってさ。その子の代わりに誰か……って思っていたんだよ」



……弘美。おまえは本当に運がいいヤツだよ。


< 51 / 359 >

この作品をシェア

pagetop