†Orion†
「……雅人っちー、どこ行くのー?」
逃げ出すように、みんなの輪の中から抜けた俺を、三枝さんが目ざとく見つけ声をかけた。
「あー、雅人ぉー。逃げるんでしょー?」
すっかり三枝さんと仲良くなった弘美も、呂律の回らない口調で俺を引きとめようとする。
……なにが、“ヤバイ時はあたしが止めるから”だよ。
おまえ、バスの中で言ったこと忘れてるだろ。
逆に俺が止める立場になりそうじゃん。
心のなかで毒づきながら、俺は酔っ払いの制止を振り切った。
まず、トイレに行き、用を足す。
そのあとは、あてもなくキャンプ場をブラブラと散策することにした。