my First boy last boy.




はいっと、一人カウンター席に座っているスーツを来た若い男性のところに向かった。





「ご注文お決まりですか?」


あたしがそういうと、広げていた小さなメニューから、視線を外して顔を持ち上げた。



「じゃあ、コーヒーをひとつ」



眼鏡をかけたその人は、見た目通りの、物腰の柔らかそうな声でそういう。


なんだか雰囲気が、このお店にとても似合っている人だと思った。




この空間に、これほど馴染む人がいるんだろうか。



ここに漂うコーヒーの香りみたいな人…。




気付いたら、数秒見惚れてしまっていた。




「…ミ、ミルクか砂糖はお使いになりますか?」



慌てて、その言葉を添えた。





< 32 / 469 >

この作品をシェア

pagetop