my First boy last boy.





「…春……」


「ん?」



「……、なん…で…」



その次は、言わなかった。
………言えなかった。




「…ばか。ばか、ばかばかばかばかばーか!!」


「はあ!?なんだよお前!?てか、んなばかばか言うんじゃねぇよ!!」




ツッコミをしながら、それでも懐かしそうに笑う春…。




それが記憶の中の君と重なって、胸がいっぱいになった……。







あの頃、男にしては小さかった身長の彼は、


気づけばもう見上げるほどに大きくなって、帰ってきた…。




見た目も、かっこよくなって…。





あたしたちの間にある空白の時間。







「…おかえり」



こんなことが言えるようになったのは、その時間のうちに、大人になったからかな…?




「……おうっ。

速水春、無事戻ってきました!」




ふざけて、敬礼のポーズを取ってにやっと笑う。




………ばかっ。





―――…あと少しで、温かい水が頬を撫でるところだった……。





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