おかえりなさい(更新停止)
 
ある日、違うクラスの男子が家の近くの道路で膝を縫う大怪我をした。

田舎の細い道というのもあってか、向かい側から走ってくる軽トラックの横をすり抜けようとしたところ、あやまって溝に身を滑らしてしまったらしい。


確かにこの辺一帯の溝は意外と深い。

子供一人平気で隠れてしまう程だ。

僕が目ん玉を観察する時はガードレールによじ登ってから気にせず飛び降りていたが、下手したら着地と同時に苔に足を掬われていたかもしれない。




そんな事件がきっかけで、保護者や学校の教師から市に要請があったのだろう。

学区内全体の吹きっさらしの溝に石畳が敷かれることになった。


自由研究という名目ではなかったが、家の前の目ん玉の一匹に学校帰り語りかけるのが日課になっていた。

そんな僕は目ん玉に告げた。

「もうすぐ夜だけじゃなくて真っ暗になるみたいだけど、俺が太陽を見せてやるからな。」

反応は期待していなかったが、そう約束を交わした。




…いつの間にか愛着が湧いてしまっていたのだろう。
 
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