紫黒の瞬き
「ああ、石屋だよ。」
私の問いかけに応えたのはアサガだった。
「石屋?」
訊いた事ない職種に首を傾げる。

そんな私を見たアサガは手首に伝う甘い果汁をペロリと舐め上げ、その疑問に応えてくれた。

「宝石を買い付けて、それを金持ちに売りつけるんだよ。」

その答えを聞いて私は納得する。
鍛えられた肉体はその職種の所為かもしれなかった。
安全だとは言えないだろう職種。自分の身は自分で守らなければ、誰が守ってくれる。

人目を避けるようにここで生活しているのもその所為だろう。

「もう食べない?」
最後の一個を指差しすアサガに私は
「もういいです。ご馳走様でした。」と頭を下げた。
また手をベタベタにしながら果物を食べるアサガを見ていると、目の前にコップが置かれた。

それはジンが置いた物で、昨日と同じ様に中には水で溶かれた薬が入っていた。
見上げた私はジンと目が合う。ジンは何も言わないが、その目は「飲め。」と言っていた。





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