紫黒の瞬き
森を抜けると川沿いを歩いて行く。
「ここって…。」
見覚えのある景色に私は足を止めた。

私が言おうとする事が分かるのか、
「オルビナがいたのは、もう少し川を下った所だよ。」
二人も同じ様に歩みを止め、立ち止まった私を振り返る。
アサガは川の下流を指して教えてくれた。

「ほら、あそこ。ボコボコしてる所があるでしょ?」
アサガの指先が指す方に目を向けると、確かにボコボコと大きな岩が幾つか見える。
「あそこにいたオルビナをジンが見つけたんだよ。」

そう言われジンの方を見ると
「お前は運が良い。見つけるのがもう少し遅ければ、死んでただろう。」
遠くを見つめたままジンが言った。

あの時は歩き難くて仕方なかった砂利道。
今ではそんなこと微塵も感じる事なく、歩みを進める事が出来る。
どれだけ体力をすり減らし、酷使していたのだろう。
今の私には思い出すことも出来なかった。

真っ黒だった川面も今は太陽の光を乱反射させ、キラキラと目が痛い位に眩しい。




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