紅き天
「あぁ…。
こっちも反則なんだけどね?

…妙さんが始末した。」


「は?」



耳を疑い、声をあげる。



この和んだフインキに合わず、なにやら物騒な言葉が…。



「家光はさすがに口止めして帰したけど、あの親子は今頃そろって水の中。」



ため息をつき、静乃は言った。



妙さん…沈めたのか?



貴婦人的なものを漂わせているのに、案外怖い。



「まあ、これで静かに暮らせるんじゃない?」


「あの命令は取り消せたのか!?」



思わず、身体を跳ねさせる。



「まあ、妙さんが色々と…ね。」



フフフフフと暗い笑みを残し、静乃は立ち上がった。



「ご飯、持って来る。
丁度、妙さんが作ってくれてるの。
お粥のほうがいい?」


「いや、普通で。」



もっと突っ込んで訊こうと思っていたのに、逃げたな。




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