「今日は本当に助かったよ。すまなかったな、ありがとう。」







帰り道を歩きながら、昼間のお礼を言われた。








「課長、何度も謝らないで下さい。大丈夫ですよ!」









私が笑いながら言うと、







「そうか。。。」







と、少し照れ臭そうに頭をかきながら、呟いた。








「課長はお休みの日は、何をされてるんですか?」

「食事は自分で作られてるんですか?」

「ご兄弟はいらっしゃるんですか?」








帰り道、私が一方的に質問をしながら一緒に歩いた。







課長は私の質問に、一つづつ答えてくれた。








「あっ、課長。私はここで…。」








分かれ道に差し掛かったところで、私が言う。








「桜井は、そっちか。
俺はこっちだから。」







「はい。それじゃ、お疲れさまでした。」







別れの挨拶をし、自分の家に向かって歩き出そうとしたとき…











右腕がふいに、強い力で引っ張られた。









気が付くと、私は課長の腕の中にいた。









「課長!?」








私は訳が分からないままでいた。









すると、課長は体を離し、







「お疲れさま。」







と言って、背中を向け歩き出した。









私はその場から動けずにいた。
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