真夜中の太陽
序章


時計の針が深夜0時を指そうとしていた。

あたしはそれを合図にして立ち上がり、洗面所へと向かう。

肩にかかる洗いざらしの髪をまとめ、薄くメークをする。

簡単な身支度が済むと、ワンルームの部屋を汲まなくチェック。



――うん、大丈夫。



そしてまた、さっきと同じようにソファに腰を下ろし、バラエティ番組をぼんやりと眺める。


テレビの音量は聞こえるか、聞こえないかくらいの大きさ。

お笑い芸人がコントをしていて客席は爆笑の渦に包まれているけれど、内容がよく聞き取れず、あたしには何が面白いのか理解できない。


程なくして、玄関のドアを遠慮がちに静かにノックする音が聞こえてくる。

あたしは大急ぎで鏡に映る自分の姿をチェックし、それから玄関のドアを開けた。



「こんばんは」



ドアをノックしたその人は、静かに微笑む。



「こんばんは」



あたしもマネして静かに微笑む。


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