真夜中の太陽

「かんなさん……」



あたしがぽつりとその名を口にすると、永輝の表情は一瞬にして険しくなる。



「……彼女じゃないのにそばにいてあげないといけないなんて…」

「…………」

「どんな関係なの?」



永輝は黙ったままうつむいていた。

そんな永輝に、あたしは笑う。



「やだ、そんな深刻にならないでよ。ただ、不思議に思ってるだけ。そういう関係って、あたし、初めて聞いたからー」



まるで、

『気にもしてないわよ。あたし、あなたのこと何とも思っていないし』

というような軽い言い方。


本当は心が張り裂けてしまいそうなくらい、気になっているのに。

永輝がそばにいてあげないといけない、あたしに似ている彼女――。

< 127 / 265 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop