真夜中の太陽

震える声に気付かれないように早口でそう言うと、あたしはバックルームに足早に向かった。


ドアを閉め、フラフラした足取りでイスに座る。

喉がカラカラに渇いてくる。

泣くつもりなんてないのに、涙が勝手に、はらはらと頬を伝ってくる。



監視カメラのモニターに写る、永輝とかんなさんの姿――。

一番見たくなかった光景。



かんなさんは堂々と永輝と肩を並べている。

あたしは隠れてでしか肩を並べることができない。


かんなさんは永輝の彼女だと思われている。

あたしはただの元バイト仲間。


そして、あたしと永輝は、真夜中にしか会えない関係。



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