真夜中の太陽

「……っ……」



こんなこと、信じられない……。

夕刊をグチャグチャに丸め、あたしはゴミ箱に叩きつけるようにして捨てた。



きっと、永輝じゃない。

同姓同名なんだよ。


あんな紙切れ一枚で永輝の死を知らされても、納得いかない。


永輝は……生きてる。

峠での事故も、永輝じゃない。


きっと今頃、永輝は峠での事故を知って驚いてるんだ。



『オレと同じ名前……』

『いや、オレ、ちゃんと生きてるから』



そう言って、困惑したように静かに笑っているんだ。

きっと…きっと……。

< 199 / 265 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop