時計塔の鬼


「わがまま言った……。いい、気にすんなよな」


「シュウ?」



様子が、何か変だ、と思った。

鬼は無理をしているような、または諦めたかのような、そんな表情を浮かべていた。

次いで、シュウはふっと柔らかく笑んだ。



「無理なんかしてねぇよ。ただ、これに慣れなきゃ、人間とは付き合っていけねぇな、ってことを思っただけだ」



そう。

所詮は、鬼と人。

生きる時間が違うのだろう。




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