時計塔の鬼

cooperators.



「でねー、また土方先生が~……」


「それは歩美が悪いだろ?」


「んもー、慎ちゃんまでそんなこと言うーっ!」


「ははっ。事実だろ?」


「そーだけどぉー……」



今、私の目の前には、バカップルが一組。


――ガラガラ…

『らっしゃいませー!』



店の扉が開いては閉じを繰り返し、その度にカウンターの奥から威勢のいいおやっさんの声が店内に響く。

学校近くの居酒屋、コアラ。

歩美、坂田君、私の三人が、今酒を飲みかわしている場所だ。

このメンバーで飲む時はたいていここを使う。

理由は簡単で、学校に近くて、私と歩美の家に近いから。

それだけの理由からだけど、私自身、ここの店は意外と気に入ってる。

雰囲気もいいし、おやっさんや奥さんは気が利いて、息子さんの料理は絶品。

こんな素敵な居酒屋が近場にあるってことは、きっと、すごく運がいいのだろう。

誰の日ごろの行いのおかげかは、言い出したら喧嘩になるだろうから、心の中にそっと秘めておくことにする。



「で? なぁ~にがあったわけぇ?」


< 268 / 397 >

この作品をシェア

pagetop