時計塔の鬼
『じゃ』
『帰るのか?』
『うん。暗いし』
先ほどは、自分が帰ることを勧めていたくせに。
今になってシュウは、置いていかれる捨て犬のような瞳をする。
なぜか心の奥が、ギュッと締め付けられた気がするんだ。
『気をつけてな』
『うん。またね。明日も来ると思うから』
『あっそ。またな』
約束を破ってしまった。
倒れたせいで、結局行くことが出来なかったから。
“またね”
“またな”
明日も、また会える。
安易にそう考えてした、毎日のささやかで小さな約束。
「シュ……っ、……」