恋愛クリニック部【修正中】

記憶






――掃除をするため、窓を開けていた。


テレビを消し、掃除機の音が家中に響く。




部屋の隅から隅まで掃除機をかける。


一通り、掃除機をかけたところで気がついた。



「…掃除は上からが基本だった」



机の上や、出窓…埃が溜まった箇所を見ては溜息が漏れた。


「1からやり直すか…」


主婦はこんなに大変だったのか。
俺は改めて妻の働きを褒めてやりたいと思った。


ここは一戸建てで、すぐ近くに幼稚園がある。


その幼稚園には桜の木がたくさんあり、二階から桜を見下ろしては
「花見がしたい」
と思った。



花見というか、正直に言うと生ビールをグイグイっと飲みたいだけだけど。



更に下を見下ろし自分の家の庭を見る。


庭には妻が丹誠込めて育てている無数の花たち(名前は知らない)と子供の遊び道具がそのまま散らかっている。



妻はいつも、この花たちに水をやりながら、子供の姿を見ていたのだろう。


その光景が頭の中に鮮明に浮かび上がり、俺の目にはうっすら涙が浮かんできた。
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