キミノタメノアイノウタ

そいつは片づけをする手を止め、俺を睨んだ。

「嫌いになりそうだったから…ピアノやめて…っ…でもやめてもっ…ずっと苦しくて…っ」

どちらも同じくらい苦しかった。

違うことをしていても退屈で…。

何をしていても色褪せないピアノをやっていた頃の記憶がよぎる。

それが余計苦しい。

音楽なんてやりたくない。

もうやりたくないんだっ!!

掻き乱さないでくれっ!!

やっとのことで封じ込めたんだ!!

これ以上俺に思い出させないでくれ…!!

< 214 / 409 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop