キミノタメノアイノウタ
16

「よっ!!元気?」

……朝っぱらから元気なのはあんたのほうだ。

「千吏…」

数学と同様、朝も苦手な千吏がまだ小鳥がチュンチュン鳴く時間に現れたものだから、私は干そうと思っていたシャツを落としそうになった。

「相変わらず、朝から大忙しだね」

既に干し終わった洗濯物の下を潜って、千吏に駆け寄る。

「どうしたの?こんな朝早くに…」

まだ本格的に日が昇っていないせいで、朝方は随分涼しい。

千吏は長袖のカーディガンに不釣合いな大きな麦わら帽子を被っていた。

ハタハタと洗濯物がはためく。今日も風が強い。

「瑠菜なら起きてるかなって思って」

「まあね」

……今日もばっちり6時に目覚めてしまった。

昨日、あれだけ大騒ぎしといてキチンといつもと同じ時間に起きれるなんて自分でも驚いたくらいだ。

……花火大会を台無しにしてしまったこと。

家に帰ってから、ずっと考えていたのに。

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