【短編集】communication
私の尊敬する人は穂積さん。


私の3歳上。


だから、今年卒業。


悲しいけど。


一年でも同じ構内で学べるのが嬉しい。


彼は、兄の後輩で。


私は、元々兄を尊敬していた。


人一倍努力家でそれを鼻にかけない兄。


完璧すぎる。


私の自慢でありながら卑屈になる対象だった。


けど、そんな兄が一目置いた存在。


天性からきているものがあるのに努力を惜しまない。


兄は、期待に押しつぶされそうになった時、穂積さんのおかげで助かった。


そんな人のそばにいたら、わかるんじゃないかって。


私は、兄を理解したかった。


助けたかった。


私は、見てきたから。


だから....


悲しくもあり、辛かった。


もとから、兄を尊敬の対象にするだけで理解しようなんてなかったから。


私は、先の未来への答えを出したい。


私は、穂積さんのいるサークルにはいった。


少しでも、穂積さんと一緒にいたいってのがあったから。


やっぱ、穂積さんとは兄繋がりでサークル内で一番仲がいい。


私は、当初から素直に相談をした。


穂積さんは、大学内で有名だった。


知らなかったけど。


そんな彼と噂になるのも時間はかからなかった。
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