【短編集】communication
「玲奈、周りが変わったように見えても何も変わってないんだよ。」



私は、雨琉の言葉をよく考えた。


雨琉は、変わってない。


変わったようで変わってない。


周りは、変わってしまった。


私は?


取り残されたようで。


あっ!


わかった。


「雨琉、私ね。雨琉に置いて行かれそうで怖いの。」


「置いていかないよ。俺は、玲奈と手をつないで前へ進むんだから。」


「私と一緒?」


「そうだよ。」


あの頃と変わらない優しい笑顔。


私は、周りの変化に惑わされて何も見ていなかったんだ。


見るべきものは、周りじゃなくて雨琉なのに。


『雨琉くんは、芸能人だから』


そうだ。


この言葉からだ。


特別視しなきゃいけないんじゃないかって。


雨琉は、芸能人の前に私の彼氏なのに。


バカみたい。
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