【短編集】communication
「俺、ずっと待ってた。歩美からの返事を。俺はな話しかけたかった....けどさ、意地もあった。もう一度、言うよ。俺は、歩美が好きだ。つき合ってくれ。」


「ごめん。」


私は、謝った。


すると、亙の顔が歪んだ。


「わかった。」


亙は、それだけ言って部屋を出ようとした。


「えっ?待ってよ。」


私は、必死に呼び止めた。


勘違いしないでよ。


私の話、途中だよ。


最後まで話を聞いてよ。


「歩美は、俺をフったんだろ?今、『ごめん』って。」


「ち、違うから。それは、今まで、返事しなくてごめんってこと。」


私が、弁解すると亙は、少しホッとした感じだった。


よかった。



また、失敗するとこだった。


私って、考えなしに話すから....


「私ね。答えなんて決まってた。けど、口にするの怖かった。だって、誰にも言ったことなかったから。そしたら、今までズルズル。私は、亙が好きだよ。」


私は、亙の目を見ながら想いが伝わるように言った。


「マジで?」


亙は、スゴい嬉しそうな顔をした。


久々に、見た。


この笑顔。


「歩美、俺のそばにずっといて。」


亙は、勢いよく私に抱きついた。


私は、恥ずかしくて亙の胸に顔を埋めていた。


けど、やっぱり亙の顔が見たくて、顔だけ上を向いた。
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