抱けないあの娘〜春〜

翌日、そっと寮を抜け出し、僕はﾊﾞｽに乗りさつきの住む自宅の最寄り駅へ降り立った。


駅前のｽﾀﾊﾞで待ち合わせ。約束の時間の5分前に到着した。まだ肌寒い4月、僕はｶﾌﾟﾁｰﾉ、さつきの大好きな温かい抹茶ﾗﾃを先に注文しておいた。さつきは猫舌だからな…少し冷ましてやらないと飲めないんだ。


ま、そんなところも僕にはすごく可愛らしいんだけどね。



そろそろ来るかな？通りに面したｿﾌｧ-に座り、ｶﾌﾟﾁｰﾉを飲みながらさつきの姿を探す。



10分。




15分。




30分。




…来ない。



携帯にかけても電源が切れているのか、繋がらない。



さつきの自宅から駅までは歩いて10分もかからないし、さつきは毎日この駅に廻ってくるｽｸｰﾙﾊﾞｽに乗って学校へ通っているんだから、いくらなんでも迷うわけがない。




一気に不安になる。




何かあったのか…？