【完】キス、kiss…キス!
「さっ!ご飯出来てるから食べよ!」


「はぁーい」


元気に返事をしたナオちゃんと共にテーブルに着くと、目の前のナオちゃんの大きな瞳がきゅるるんと輝く。


「わぁぁ!卵焼き、超綺麗に焼けてる!姫さん料理出来るじゃん!」


ナオちゃんはお箸で卵焼きを摘み、ぽいっと口に入れる。


「んみゃあい!甘くない!俺としょっぱいのは一緒だけど、全然味が違う。これも超美味しいー!どうやって作るの?」


私の卵焼きは、砂糖じゃなくてだし巻きだ。ちょっとしょっぱい風味。ナオちゃんがよく作ってくれるのもだし巻きだし、きっと気に入るだろうなって思ってたんだよね。


それと、イリコだしのお味噌汁。これは桶川家の秘伝のお味噌汁の味なの。


あっそろそろかなぁ、なんて、オーブンから漂う香りで思い、私はテーブルから立ち上がりそちらへ向かう。


ナオちゃんは、くりくりおめめで私の姿をニコニコ見ていた。
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