はんぶんお月様〜僕と小さい君の7日間〜

家さがし

僕はどうやら、彼女の家の前にいたみたいだ。

小学校前の公園で、
酔っぱらった僕は、寝たらしい。
昨日は風が強くて、
桜の下に寝てた僕に花びらが降り積もったようだ。

体にまだ、花びらが残ってる。

荷物は駅のコインロッカーに預けてあった。



さてと。
とにかく家を探さないと。

以前住んでたボロアパートに行ってみることにした。



そこには、なにもなかった。




「空き地」という看板が斜めに刺さってる。
ボロだったもんな。
そりゃ、無くなるのも当たり前か。

なんだか、自分まで、
いらなくなったから早く立ち去れと言われてるような気がして、
ボロアパートの姿を思い出しながら、

「ボロだってなんだって、このアパートは必要だったんだよ。」

と、独り言をつぶやいた。




僕は、以前世話になった不動産屋に足を運んだ。



敷金礼金、結構高い。
これを払ったら、無一文だ。
もっと安い物件はないんだろうか。


「う~~~~ん。」

不動産屋がうなってる。

「この値段だと、この辺りじゃ、厳しいな~。
いい物件が見つかったら、連絡するよ。」

「よろしくお願いします。」



僕は、彼女に寄生してたんだなと身に染みた。

やっぱり、地元へ帰ろうか。

何言ってるんだ。お前の夢はまだ途中じゃないか。

でも、もう、才能なんてないんだし、
このまま続けるだけ無駄だ。




心の言葉に、逆らう言葉が見つからない。








バイトの時間だ。


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