【短】なんか、スキなんです。
ボール
いつだったかな?

君と
初めて話したのは。


正確な日にちは
わかんないけど、

9月の体育の時間だったね。


選択で
君と同じソフトボールを選んだ私。


男女別れて
グラウンドでキャッチボール。


私がキャッチミスしたボールが
コロコロコロコロ

すんごい遠くまで
転がっちゃって

誰も気づかないような
端っこを
コロコロコロコロ


気絶しそうになりながら
照りつける太陽の下
やる気なく追い掛けた。


その時、

グローブを付けた誰かが
風を切るようなスピードで

ボール目がけて駆け抜けた。


“ついで”じゃなくて
そのボールを拾うためだけに

何十メートルも走ってくれた。


それが、君だった。


「あ、ありがとう」

「うん」


会話はそれだけ。





──でもね、
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